一般社団法人の税制(非営利型一般社団法人とは)
一般社団法人に関する税制は、
- 全ての所得に課税される一般社団法人(普通法人型一般社団法人)
- 収益事業のみ課税される一般社団法人(非営利型一般社団法人)
の2つに大きく分かれています。
当ページでは上記のうち、後者の収益事業のみ課税される一般社団法人(非営利型一般社団法人)の設立要件とその税制について詳しく解説していきます。
*参考ページ:普通型一般社団法人と非営利型一般社団法人の違いとは?
収益事業にのみ課税される一般社団法人(非営利型一般社団法人)
非営利型の一般社団法人は、収益事業を行った場合にのみ課税され、会費(※)や寄付金などに対しては課税されません。
※ただし、会費であっても通常の会費とは異なり、事業の対価として徴収するような場合は、その事業が収益事業に該当するのであれば、課税対象となります。
税法上の収益事業「34業種」とは・・・
物品販売業/不動産販売業/金銭貸付業/物品貸付業/不動産貸付業/製造業/通信業/運送業/倉庫業/請負業/印刷業/出版業/写真業/席貸業/旅館業/料理店業その他の飲食店業/周旋業/代理業/仲立業/問屋業/鉱業/土石採取業/浴場業/理容業/美容業/興行業/遊技所業/遊覧所業/医療保健業/技芸教授業/駐車場業/信用保証業/無体財産権の提供等を行う事業/労働者派遣事業
非営利型一般社団法人はここから更に1. 非営利性が徹底された法人 と 2. 共益的活動を目的とする法人の2つに分かれ、非営利型としての税制優遇を受けるための要件は、それぞれ下記の通りになります。
1. 非営利性が徹底された法人
その行う事業により利益を得ること又はその得た利益を分配することを目的としない法人であってその事業を運営するための組織が適正であることに加え、次の要件全てを満たしていることが必要になります。
要件1 | 剰余金の分配を行わないことを定款に定めていること |
---|---|
要件2 | 解散したときは、残余財産を国や一定の公益的な団体に贈与することを定款に定めていること |
要件3 | 上記1及び2の定款の定めに違反する行為(上記1、2及び下記4の要件に該当していた期間において、特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを含む。)をしたことがないこと |
要件4 | 各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること |
解説
要件2に該当する法人・団体には要件2に該当する法人・団体には以下の法人等が該当します。
- 公益社団法人または公益財団法人
- 学校法人
- 社会福祉法人
- 更生保護法人
- 独立行政法人
- 国立大学法人
- 大学共同利用機関法人
- 地方独立行政法人
- 特殊法人のうち株式会社でないもの
解説
要件3に該当することとなった場合、その法人は二度と非営利型一般社団法人にはなれません。
解説
要件4の理事の親族等には、下記の者が含まれます。
- その理事の配偶者
- その理事の3親等以内の親族
- その理事と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるもの
- その理事の使用人
- 1~4までに掲げる者以外の者で当該理事から受ける金銭その他の資産によって生計を維持しているもの
- 3~5までに掲げる者と生計を同じくするこれらの者の配偶者または3親等以内の親族
*参考ページ:一般社団法人の非営利型における理事の親族制限とは
解説
※要件1~4すべての要件を満たすと、特段の手続きを行うことなく、非営利型一般社団法人の要件を満たすことになります。ただし、非営利型法人に該当するどうかの最終的な判断は、定款の記載だけでなく、法人の実態を見て税務当局が判断しますので注意が必要です。
2. 共益的活動を目的とする法人
会員から受け入れる会費により、会員に共通する利益を図るための事業を行う法人であることに加え、次の要件全てを満たしていることが必要になります。
要件1 | 会員に共通する利益を図る活動を行うことを目的としていること |
---|---|
要件2 | 定款等に会費の定めがあること |
要件3 | その主たる事業として収益事業を行っていないこと |
要件4 | 定款に特定の個人又は団体に剰余金の分配を行うことを定めていないこと |
要件5 | 解散したときにその残余財産を特定の個人又は団体に帰属させることを定款に定めていないこと |
要件6 | 上記1から5まで及び下記7の要件に該当していた期間において、特定の個人又は団体に特別の利益を与えたことがないこと |
要件7 | 各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1 以下であること |
解説
要件7については非営利性が徹底された法人と同様です。
解説
要件1~7すべての要件を満たすと、特段の手続きを行うことなく、非営利型一般社団法人の要件を満たすことになります。ただし、非営利型法人に該当するどうかの最終的な判断は、定款の記載だけでなく、法人の実態を見て税務当局が判断しますので注意が必要です。
非営利型一般社団法人Q&A
一般社団法人は非営利法人ではないのでしょうか?
一般社団法人は非営利法人です。
非営利法人とは、その名の通り「営利を目的としない」法人のことです。株式会社のように株主へ利益を分配することはできませんが、事業を行って利益を出すことは何ら差し支えありません。
では「非営利型」とは何を指しているのかというと、法人税法上の法人区分を指します。
一般社団法人の中でも法人税法上の非営利型法人の要件を満たす法人を「非営利型」、それ以外を「非営利型以外の法人(普通型)」として区別されています。
一般社団法人はそもそも非営利法人ですが、法人税法上、「非営利型」か「普通型」で区分されています。
非営利型法人で設立すれば税金はかからないのでしょうか?
非営利型法人でも税金はかかります。
一般社団法人にかかる税金は、法人税、法人住民税、法人事業税の3種類あります。
非営利型一般社団法人の場合、法人税は収益事業から生じた所得に対してのみ課税されます。つまり、収益事業を行わない法人であれば法人税はかかりません。これが非営利型の特徴です。
地方税である法人住民税の均等割は非営利型法人であってもかかりますが、公益目的事業のみを行っている法人であれば都道府県によっては免除される場合があります。
また、法人住民税の法人税割と法人事業税は、法人税がかかる収益事業に対してのみ課税されます。
収益事業とは何ですか?
法律で規定されている34の事業のことです。
法人税法上、収益事業とは「販売業、製造業その他政令で定める事業で継続して事業場を設けて行われるもの」と規定されています。
この収益事業に該当する事業から生じる所得について、法人税が課税されることになります。
34事業には具体的に、物品販売業、不動産販売業、製造業、運送業、請負業、料理店業その他の飲食店業など、社会通念上ほとんどの営業行為が含まれます。
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