理事、監事の責任限定契約について

理事や監事が任務を怠り、一般社団法人に損害を生じさせたときは、一般社団法人に対して、損害賠償責任を負います。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律

(役員等の一般社団法人に対する損害賠償責任)
第百十一条 理事、監事又は会計監査人(以下この款及び第三百一条第二項第十一号において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、一般社団法人に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

軽微な過失による場合でも高額な損害賠償責任を負う可能性があるというのでは、理事や監事を引き受けてくれる人がいなくなってしまいます。

そこで、業務執行に関与しない理事や監事に対しては、善意かつ重大な過失がない場合に限り、定款において損害賠償責任の金額を制限する「責任限定契約」を締結することができるようになっています。

責任限定契約の対象となる人は、①業務執行理事ではない「非業務執行理事」、②使用人ではない理事、③監事、④会計監査人です。

①の業務執行理事とは、代表理事、理事会の決議によって業務執行理事として選定された理事、一般社団法人の業務を執行した理事のことをいいます。つまり、業務執行理事ではない「非業務執行理事」とは、一般社団法人の業務執行に関与しない理事=いわゆる平理事のことを指します。

非業務執行理事等が一般社団法人に対して負う損害賠償責任について、一定の額を限度とする「責任限定契約」を締結することで、賠償責任に関する不安を除去し、人材確保を容易にすることが期待できます。

一般社団法人と非業務執行理事等が責任限定契約を締結するには、その旨を定款に定めなければなりません。

また、登記事項(登記簿謄本に記載される事項)であるため、法務局へ登記を行う手続きも必要となります。

定款記載例

(責任限定契約)
第◯条 当法人は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第115条第1項の規定により、理事(業務執行理事又は当該法人の使用人でない者に限る。)又は監事との間で、任務を怠ったことによる損害賠償責任の限定契約を締結することができる。ただし、その責任の限度額は、◯万円以上で当法人があらかじめ定めた額と法令で定める最低責任限度額とのいずれか高い額とする。

この定款の定めに基づき、一般社団法人と非業務執行理事等との間で責任限定契約を締結することができ、責任が軽減される仕組みです。

多くの場合、理事会を設置して理事を数十人置く、規模の大きな一般社団法人で採用されます。

一般社団法人に対して負う損害賠償責任額は、「①定款で定めた額の範囲内であらかじめ一般社団法人が定めた額」と「②最低責任限度額」とのいずれか高い額を限度とすることができます。

「①定款で定めた額の範囲内であらかじめ一般社団法人が定めた額」は、一般社団法人の定款に定めた額です。たとえば、定款で100万円以上と定めた場合、少なくとも100万円の損害賠償責任を負わなければなりません。

「②最低責任限度額」とは、社員総会の決議によっても免除が認められない額のことで、非業務執行理事等が一般社団法人から職務執行の対価として受けまたは受けるべき財産上の利益の1年間当たりの額(年報酬額等)の2倍の額をいいます。

簡単に言うと、年間報酬額の2年分相当額です。仮に損害賠償責任を追う非業務執行理事の年間報酬額が年間200万円であった場合、原則最低責任限度額は400万円になります。

①か②のいずれか高い額を限度とすることができますので、仮に上記例であったとすると、損害賠償責任額は400万円になります。

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