一般社団法人の基金について〜公益法人制度の専門家がわかりやすく解説〜
当記事は、一般社団法人の基金制度について詳しく知りたい方、実際に基金を募集しようとしている方に向けて作成しています。
一般社団法人の基金の基礎知識から、実際に基金を募集する際の具体的な手続きまで詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。文末にQ&Aも掲載しております。

社労士
津田 拓也
それでは、どうぞご覧ください。
一般社団法人固有の制度、基金とは?
一般社団法人は、株式会社のように資本金制度を取っていません。
また、一般財団法人のように設立に際して財産の拠出を求められることもありません。
株式会社は1円以上、一般財団法人は300万円以上の財産が無ければ設立できませんが、一般社団法人は違います。
資本金や財産の拠出は不要で、ゼロ円でも設立が可能なのです(もちろん、設立に必要な定款認証手数料や登録免許税などの法定実費はかかります)。
ゼロ円で設立できるとはいえ、当然一般社団法人も活動するための資金が必要になります。
そこで、一般社団法人には活動資金の調達手段として、「基金」制度というものが設けられています。
基金とは、社員や社員以外の第三者から集めた法人の活動資金、基礎財産を言います。
ただし、「出資」とは異なり、基金は、一定の要件や合意の元に、返還義務を負います(基金の返還については後述します)。
なお、基金については登記事項とはされていません。よって、基金を設置したり、新たに募集したりした場合でも、法人の履歴事項証明書(登記簿謄本)には掲載されません。
法務局への登記も必要ありません。基金の設置、募集に要する手続きはすべて法人内部で完結します(一部、多額の現物財産の拠出を行う場合などは裁判所の関与が必要となるケースがあります)。
株式会社の資本金制度と違って、法人内部の手続きのみで資金調達が可能ですので、その他の法人と比較しても非常に使い勝手の良い制度ということができます。
とはいえ、いまいち基金のイメージがつきにくいと言う方もいらっしゃるかと思いますので、基金の名称例をご覧いただくと、具体的にイメージしやすいかもしれません。
「一般社団法人〇〇運営基金」「一般社団法人〇〇プロジェクト基金」などです。環境系の一般社団法人だと、「一般社団法人〇〇環境活動基金」などになるかと思います。
法人運営のために基金を募集するものもあれば、ある特定のプロジェクト遂行のためだけに基金を設置、募集するものもあります。
それでは、ここから基金を募集するための具体的な手続きについて見ていくことにしましょう。
基金制度の利用は法人の任意
一般社団法人の基金を設置するかしないかは、その法人の任意です。
任意とは言っても、基金を設置するための手続きは一般社団法人法によって規定されていますので、瑕疵なく行う必要があります。手続きに瑕疵があれば、基金の拠出自体が無効ということにもなりまかねませんので、注意が必要です。
基金は定款にその旨の記載が無ければ募集できない
まず、基金募集の前段階として、定款に、基金に関する条項を新たに定めなければなりません。
すでに定款に基金に関する条項が入っている場合はこちらの手続きは不要です。
定款変更には社員総会の「特別決議」が必要になりますので、新たに社員総会を招集、開催する必要が出てきます。通常は臨時社員総会を開催することになろうかと思います。
なお、基金制度を一度でも採用した場合、それを廃止することはできませんので、注意が必要です。
基金制度を採用する場合の具体的な手続きとは
前述の通り、基金制度を採用する場合は、基金の拠出者に関する規定や、基金の返還手続きの方法などを定款に規定しておく必要があります。
基金の額について、制限はありません。上限、下限もありません。
また、金銭以外の現物財産(不動産や動産など)も基金として募集、拠出することができます。
なお、金銭以外の財産を拠出の目的とした場合は、原則として、その価額調査のために裁判所に対して検査役の選任申し立てが必要となります。ただし、金銭以外の財産が次に掲げる事項に該当する場合は、検査役による調査は不要です。
- 価額の総額が500万円を超えない場合
- 市場価格のある有価証券で市場価格を超えない場合
- 価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、 税理士又は税理士法人の証明(現物拠出財産が不動産である場合にあっては、当該証明及び 不動産鑑定士の鑑定評価。)の証明を受けた場合
- 一般社団法人に対する金銭債権(弁済期が到来しているものに限る)であってその簿価を超えない場合
基金の募集方法とその拠出の方法
基金を募集する場合、その都度、募集に係る基金の総額等、募集事項を定め、募集に応じて基金の拠出を行おうとする者に対し、募集事項を通知しなけれなばなりません(募集事項を定めるには社員全員の同意が必要になります)。
基金の拠出をする人は、募集事項等に記載されている期日内に、拠出金を払い込みます。
<基金の募集事項>(一般社団法人法第132条)
- 募集に係る基金の総額
- 金銭以外の財産を拠出の目的とするときは、その旨、並びに当該財産の内容及びその価格
- 基金の拠出に係る金銭の払い込み期日又は期間
*参考ページ:一般社団法人の基金拠出契約書について
基金募集手続きの大まかな流れ・フロー
- 定款へ基金の規定の設置(定款に基金の定めがない場合)
- 募集事項の決定(募集に係る基金の総額や払込み又は給付の期日又はその期間等)
- 基金の引受申し込みをしようとする者への募集事項その他の基本事項の通知
- 基金引受人による基金の申し込み
- 基金の引受人による基金の払込または給付
基金の返還について
事業年度に係る貸借対象表上の純資産の額が基金等合計額を超える場合、その事業年度の次の事業年度に関する定時社員総会の日の前日までの期間に限り、その超過額を返還の限度額として、基金の返還をすることが可能です。※基金の返還に係る債権には利息を付けることはできません。
尚、基金を返還するには定時社員総会の決議が必要となります。
なお、基金の返還が可能というだけであって、基金制度においてはあくまでも法人と基金拠出者との契約になりますので、例えば、「一般社団法人の解散のときまで基金の返還は行わない」といった定めを置くことも可能です。
*参考ページ:一般社団法人の基金の返還について
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- 基金拠出契約書【Word:2ページ】
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一般社団法人の基金に関するQ&A
一般社団法人の基金とは?素人でも分かるように簡単に教えてください。
基金とは、一般社団法人の資金調達の手段です。
一般社団法人には「資本金」がなく、設立時も資金0円で設立することができます。しかしながらそうは言っても、現実的に資金(お金)がなくては、法人を運営することはできません。
そこで、一般社団法人では、法人運営に必要な資金を調達するための手段として「基金制度」が設けられています。
基金制度を通して、法人の活動に賛同してくれる人から、お金や物品などの財産を法人へ出してもらいます。集まった基金は、法人の財産基礎とすることができます。
定款に基金の定めがない場合は、基金を募れないのでしょうか?
基金制度を採用するには、定款に基金を設置する旨の定めを置いておく必要があります。
一般社団法人が基金制度を採用するかどうかは任意ですが、基金制度を採用するのであれば、定款にその記載が必要というわけです。
定款に基金の定めがないのであれば、基金を募集する前に定款変更の決議が必要になります。
基金を引き受けてくれる人は限定されますか?
基金の引受人は限定されていません。
基金を引き受けてくれる人を「基金の引受人」と呼びますが、引受人は限定されていません。
一般社団法人の社員や役員、従業員はもちろん、法人外部からも幅広い人たちから財産の拠出を受けることができます。
設立時には基金制度は定款に定めておくべきでしょうか?
将来基金制度を設ける予定があれば定めておきましょう。
基金制度は任意であるため、定款に定めがあっても必ず基金を募集しなければならないという訳ではありません。
実際に基金制度を採用する場合には、定款にその定めがなくてはダメですので、将来基金制度を設ける予定があるのであれば、設立時から定款に定めておけば手間が省けます。
基金を募集した場合は、法務局の登記変更は必要ですか?
基金を募集しても法務局への登記は不要です。
実際に基金を募集して、法人に財産が拠出されても、基金の額が登記されることはありません。一般社団法人の登記簿謄本には「資本金」の事項がありませんので、資本金として反映されることもありません。
基金は株式会社の資本金と同じでしょうか?
資本金と似ていますが、性質はまったく異なります。
基金は、法人の外部や不特定多数の人から活動資金を得るという点では、株式会社の資本金と似ている面はありますが、その性質は異なります。
株式会社の資本金は、出資者(株主)に返還する必要はありませんが、一般社団法人の基金は、一定の要件のもと、返還義務があります。
そして、株式会社に出資した人は、その会社の株主になりますが、一般社団法人に基金を拠出しても、その一般社団法人の社員(従業員ではない)になるわけではありません。株式会社の
一般社団法人の基金は、株式会社の資本金とは異なり、純粋に法人経営の安定化等を目的に資金を集める制度です。
基金の用途は決まっていますか?
基金の使いみちは自由です。
募集する基金のその性質にもよりますが、基金として集めたお金や物品等の財産は、その使いみちに制限はなく、一般社団法人の活動の原資として自由に活用することができます。
基金の募集は設立と同時にできますか?
はい、可能です。この場合、設立時社員の全員の同意によって募集事項を定めることになります。
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