一般社団法人の設立時に作成する「設立時社員の決議書(設立時社員の一致があったことを証する書面)」について

一般社団法人の設立時には、定款などのほか、多くの書類を作成しなければなりません。

*参考ページ:一般社団法人設立の必要書類一覧

その一つに「設立時社員の一致があったことを証する書面(設立時社員の決議書)」というものがあります。

ここでは、一般社団法人の設立時に作成する設立時社員の決議書について、詳しく解説いたします。

「設立時社員」とは、一般社団法人の設立に携わる人、いわゆる発起人の立場の人です。

*参考ページ:一般社団法人の設立時社員とは?

設立時社員の主な役割は、定款を作成すること、設立時理事や監事を選任すること、法人の所在地(主たる事務所)を決定することなどです。

設立時理事・設立時監事、法人の主たる事務所は、定款の中で決定することが多くありますが、定款で定めなくても構いません。定款で定めなかった場合には、別途、設立時社員が決めることになります。

設立時社員の決議書は、設立時社員が定款で定めなかった事項がある場合に、別途必要となる書類のことです。

定款で決めたほうが一度で済みますし、作成する書類も少なくて済むのですが、法人の実情に合わせて作成することになります。

例えば、定款において法人の主たる事務所は最低限「最小行政区画」まで記載することになっています。最小行政区画とは、「市区町村」の単位のことをいいますが、東京都23区の場合は区まで、群であれば町や村名までです。

定款の中では、主たる事務所を最小行政区画の記載にしても、詳細な住所を記載しても、どちらでも構いません。もし、主たる事務所を最小行政区画の記載にするのであれば、別途、詳細な住所を設立時社員が決めることになります。

ではなぜ、主たる事務所を最小行政区画の記載にするのでしょうか?

それは、最小行政区画の記載にしておくことで、将来移転した際に定款変更を行う確率を下げるためです。

定款に「当法人は、主たる事務所を東京都中央区に置く」とした場合、将来「東京都中央区内」で移転するには、定款変更をする必要はありません。つまり、社員総会を開くことなく、理事が移転先や移転日を決めることができます。

定款に「当法人は、主たる事務所を東京都中央区日本橋小網町1番1号に置く」と詳細な住所とした場合は、将来移転する際には必ず社員総会を開いて、定款変更の決議を行わなければなりません。

将来移転する可能性はまったくないという法人であれば、定款に主たる事務所の住所を詳細に記載すれば良いですし、少しでも移転する可能性があれば、最小行政区画の記載に留めるほうが良いということです。

どちらでも法人の実情によって選択できますが、最小行政区までの記載にした場合は、詳細な住所は別途、設立時社員の決議書を作成して決めることになるのです。

そして、この設立時社員の決議書は、法務局へ登記申請する際の添付書類として使用することになります(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第318条3項)。

定款で設立時理事・設立時監事を決めなかった場合

定款で設立時理事・設立時監事を決めなかった場合、設立時社員は定款認証の後、遅滞なく、設立時理事・設立時監事を選任しなければなりません。

<設立時社員の決議書の記載例>

設立時理事及び設立時監事の選任に関する決議書

令和◯年◯月◯日、一般社団法人◯◯協会創立事務所において、設立時社員全員が出席し、その全員の一致の決議により、設立時理事及び設立時監事について次のとおり選任をした。

設立時理事 東京都千代田区大手町一丁目1番1号 東京 太郎
設立時監事 東京都千代田区大手町一丁目1番1号 東京 花子

上記決定事項を証するため、設立時社員の全員は、次のとおり記名押印する。

令和◯年◯月◯日

一般社団法人◯◯協会

設立時社員 ◯◯ ◯◯ (印)
設立時社員 ◯◯ ◯◯ (印)

定款で法人の所在地(主たる事務所)を決めなかった場合

設立する一般社団法人の所在地(主たる事務所の所在地)を定款で「最小行政区画」までしか定めていない場合には、設立時社員者により、具体的な所在地を決める必要があります。

例えば、「当法人は、主たる事務所を東京都中央区に置く」と記載した場合です。このような場合は、実際の住所をどこにするのか決めなければいけません。

<設立時社員の決議書の記載例>

主たる事務所所在場所の決定に関する決議書

令和◯年◯月◯日、一般社団法人◯◯協会創立事務所において、設立時社員全員が出席し、その全員の一致の決議により、主たる事務所について次のとおり決定をした。

主たる事務所 東京都中央区日本橋小網町1番1号

上記決定事項を証するため、設立時社員の全員は、次のとおり記名押印する。

令和◯年◯月◯日

一般社団法人◯◯協会

設立時社員 ◯◯ ◯◯ (印)
設立時社員 ◯◯ ◯◯ (印)

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