公益法人会計基準とは?~公益法人制度の専門家がわかりやすく解説~
「会計基準」とは、決算期に作成する損益計算書や貸借対照表などの「財務諸表」を作成する際のルール(作成指針)のことです。
誰もが自由に財務諸表を作成してしまうと、本当にその財務諸表が正確であるのか、その信頼性を担保できないため、きちんと「会計基準」というルールに則って作成することが求められています。
一般社団法人も例外ではなく、決算期に必ず財務諸表を作成しなければならず、決算後に税務署へ確定申告を行います。
一般社団法人の会計では、「一般に公正妥当と認められる会計の基準その他の会計の慣行」であることが求められているだけで、特定の会計基準を適用する決まりはありません。従って、法人自らがどの会計基準を用いるかを選択することになります。
一般社団法人に適用される会計基準は、「企業会計基準」と「公益法人会計基準」の2つあります。
「企業会計基準」は、株式会社などの営利法人において適用される会計基準です。
「公益法人会計基準」は、非営利法人である公益法人において適用される会計基準です。
一般社団法人の会計基準
一般社団法人は、法人税法上の区分により「非営利型法人」と「非営利型法人以外の法人(普通法人)」に分けられます。
「非営利型法人」では、法人税法上、公益法人と同じ取り扱いとされるため、収益事業から生じた所得のみが課税対象となり、その他の会費や寄付金には原則課税されません。
*参考ページ:一般社団法人の税制について
一方、「非営利型法人以外の法人(普通法人)」では、株式会社と同様にすべての所得に対して課税対象となります。
このように同じ一般社団法人でも、法人税法上の取り扱いが異なるため、会計基準が同一である必要はありません。
非営利型法人の多くは、「公益法人会計基準」を採用し、非営利型法人以外の法人(普通法人)では、株式会社などの企業と同様の事業を行っていることから、企業会計基準が採用されています。
特に非営利型法人の中でも、将来的に公益認定を受けようと考えているのであれば、認定前から公益法人会計基準に従って会計処理を行っておくほうが良いでしょう。
公益法人会計基準における財務諸表等
公益法人会計基準では、財務諸表と呼ばれる「貸借対照表、正味財産増減計算書、キャッシュ・フロー計算書」と附属明細書、財産目録を作成しなければなりません。
会計基準によって、財務諸表の様式に違いがあります。
例えば、企業会計では「損益計算書」と言いますが、公益法人会計では「正味財産増減計算書」と言います。
どちらも同じような内容の書類ですが、会社は営利を目的としているため、損をしたのか利益があったのかという「損益」の計算書、公益法人は非営利法人であるため、損益ではなく、財産が増えたのか減ったのかという「増減」の計算書になっています。
①貸借対照表
貸借対照表とは、財政の状態を表す書類です。
公益法人会計基準では、「事業年度末現在におけるすべての資産、負債及び正味財産の状態を明りょうに表示するものでなければならない」と定められており、表示する区分も規定されています。
表の左側に法人が保有している資産を「資産の部」として表示します。表の右側には返済する義務のある負債を「負債の部」として、総資産から負債を差し引いて残る法人の財産を「正味財産の部」として表示されます。
- 資産の部:流動資産、固定資産(基本財産・特定資産・その他の固定資産)
- 負債の部:流動負債、固定負債
- 正味財産の部:基金、指定正味財産、一般正味財産
②正味財産増減計算書
正味財産は、資産から負債を差し引いた純資産に該当する部分であり、正味財産増減計算書は、正味財産の増減を表示するための表です。株式会社の「損益計算書」と同じような役割があります。
正味財産は、法人の財産(財源)により下記の3つに区分されて表示されます。
- 一般正味財産:事業活動を行うことで得られた財産
- 指定正味財産:補助金や寄付金で得られた財産
- 基金:基金によって得られた財産
正味財産増減計算書を作成することによって、事業年度中にどのような原因で財産が増減したのかを知ることができます。
③キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書は、事業年度期間における資金の増減を事業活動、投資活動、財務活動の3つの区分に分けて表示する表のことです。
3つのキャッシュ・フロー計算書
- 事業活動によるキャッシュ・フロー:
入会金収入、会費収入、事業収入、事業費支出、管理費支出等 - 投資活動によるキャッシュ・フロー:
固定資産売却収入、投資有価証券売却収入、固定資産取得支出、投資有価証券取得支出 - 財務活動によるキャッシュ・フロー:
借入金収入、基金受入収入、借入金返済支出、基金返還支出
ただし、キャッシュ・フロー計算書の作成義務があるのは、大規模法人のみです。
「公益法人会計基準の運用指針」において、会計監査人を設置する公益社団・財団法人以外の法人は、作成しないことができることになっています。
④附属明細書
附属明細書とは、貸借対照表と損益計算書の補足説明に用いられる書類です。
貸借対照表や損益計算書では、詳細に知ることのできない事項について補足的に記すもの書類です。
- 基本財産及び特定財産の明細
- 引当金の明細
ただし、財務諸表の注記にこれらを記載している場合には、その旨を記載することで内容の記載が省略できます。
⑤財産目録
財産目録は、事業年度時終了点において法人が保有するすべての「資産」とすべての「負債」について一覧にしたものです。
それぞれにおいて、名称・数量・使用目的・価額等を詳細に記載しなければなりません。
- 資産:現金、預金、土地、建物、有価証券等
- 負債:未払金、借入金、退職引当金等
公益法人会計基準に精通した税理士・公認会計士に相談しましょう。
このように公益法人会計基準の会計はとても複雑なため、公益法人の税務に精通している税理士さんへ相談するようにしましょう。
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